東京フィル定期演奏会
チョン・ミョンフン指揮
ヴェルディ歌劇『マクベス』
指揮者は、この作品について次のように語っています。
「このオペラは歴史上みられる非常に陰惨な命題、権力と権力への欲望にかかわるテーマを描いています。とても不快なドラマですが、人生のすべてがただ幸せで陽の当たるものとは限りません。ですからこの作品は暗い意味で高度にドラマティックな作品なのです。」と。
さらに、ヴェルディ初期の作品で「極めて質の高いダイヤモンドの原石」と評していますが、確かに不快な暗い気持ちで始まりながらも、徐々に引き込まれていく不思議な魅力的な歌劇でした。
どこか心の奥底で人間の煩悩を覗き込んだ後の、解決不能な命題を与えられたような困惑と冷めた余韻が感動と共に残っています。