一遍上人立像は、怒るが如く厳しい眼差しでした。
しかし、その心を悟るや穏やかな顔立ちに戻っていました。
坂村真民さんの詩
一遍智真
捨て果てて
捨て果てて
ただひたすら六字の名号を
火のように吐いて
一処不在の
捨身一途の
彼の狂気がわたしをひきつける
六十万決定往生の
発願に燃えながら
踊り歩いた
あの稜々たる旅姿が
わたしをかりたてる
芭蕉の旅姿もよかったにちがいないが
一遍の旅姿は念仏の厳しさとともに
夜明けの雲のようにわたしを魅了する
そう手合掌破衣はだしの彼の姿に
わたしは頭を下げて
ひれ伏す