
コントラバス奏者ゲリー・カーの「コル・ニドライ」を聴く。
中でもエルネスト・ブロッホ作曲の「祈り:ユダヤ人の生活のスケッチ」がいい。
ブロッホは、ユダヤの作曲家
「私は、ユダヤ人であり、ユダヤ的な音楽を書くことを心から望んでいる。」と述べ、
ユダヤ的な要素の強い作品を残している。
この「祈り」はチェロとピアノのために作曲した作品。
低音の伸びやかなコントラバスの響きが、
深いユダヤ的色彩を感じる祈りを表現している。
岩波文庫から昨年暮れ出版された
「西田幾多郎歌集」を買う。
先日から気になっていた。
学生の頃、一心不乱に思索し研究する姿に感銘し、
机の前に西田幾多郎の写真を掲げていたことを思い出した・・・。
肉親の死など家庭的には決して恵まれていなかったが、
そうした苦難の中、折々に詠まれた短歌は、哲学者の内面を如実に伝えている。
西田幾多郎は、「短歌について」の中で
「我々の生命と考えられるものは、深い噴火口の底から吹き出される大なる生命の焔というごときものでなければならぬ。詩とか歌とかいうものはかかる生命の表現ということができる、かかる焔の光ということができる」
と述べている。
我心深き底あり喜びも憂の波もとどかじと思ふ
夜もすがら争ひあひし鬼と仏あくれば同じ兄弟の中
世をはなれ人を忘れて我はただ己が心の奥底にすむ
愛宕山入る日の如くあかあかと燃し尽さん残れる命
日は暮れて途遠けれどともかくもけふけふたけの業(なりはひ)はしつ